日本のアスレティックトレーニングの課題
パワーとスピード獲得のための「ウェイトトレーニング」「四肢の筋力アップ」
に偏重しがちな昨今の日本のアスリートのトレーニング。
たしかに四肢の大きな筋力は動きの原動力になります。
ただ、大きな筋力を動かすには性能の良いエンジン(体幹力)が必要です。
そのエンジンのパワーや機能不足があると関節への負荷が大きくなり
全身のバランスも崩れやすく怪我や故障の原因になります。
また日本では一種目を通年でトレーニングすることが基本なので、
関節可動域、方向、使われる筋に偏りがおこり
疲労性の故障や慢性疲労からくるバーンアウトを引き起こしやすいのが現状です。
さらに、いまだにフィジカルトレーニング重視で
メンタルトレーニングが個人任せになっていることにも課題があります。
結果を出さなくてはとのプレッシャーから、睡眠障害や摂食障害、
食毛症(自分の髪の毛を引き抜き食べる行為が癖になるメンタル疾患)
になる選手もいます。将来を有望視されていても、
このようなメンタルの問題に陥り競技を離れていく選手も少なくありません。
アスリートのためのリカバリーヨガでは、身体のリカバリーはもちろん、
メンタルのスタビリティにも重きを置いて、個々の疲労回復、
パフォーマンスアップを全力でサポートします。
多くのトップアスリートがヨガを実践している
最近では国内外問わずトップアスリートが
日々のコンディショニングツールとしてヨガを取り入れています。
テニス界ではジョコビッチ選手やマリー選手、錦織圭選手もヨガを実践されています。
Bリーグでは千葉ジェッツの富樫選手、NBAのスター選手たちも、
サッカー界では英国マンチェスター・Uのレジェンド、ライアン・ギグスが
トレーニングにヨガを取り入れ、40歳まで現役を続けたのは有名な話です。
日本代表では長友佑都選手が自身の実践をもとにヨガの著書も出版されています。
2014年のブラジルW杯で優勝したドイツ代表がチームでヨガに取り組み始めてからは
監督が代わってからも継続して行っているといいます。
なぜ、ヨガはアスリートにとって有効なのか
ギグスはかつてインタビューでヨガの効果をたずねられると、
「絶大だね。ヨガをやっているからこそ、38歳の今でも現役を続けられている。
30歳になってから始めたけれど、ハムストリングの古傷にも良いし、
フィジカルのすべてに効いているよ。
脚力強化、それにコア(体幹)部分の安定にもつながるし、身体の柔軟性も上がる。
今なら10代、もしくは20歳のころよりも身体が柔らかいと思うよ。
相手のタックルを受けた時なんかでも、柔軟性があるとけがの予防にすごく良いんだ。」
と語っています。
このようにヨガは、筋力や柔軟性が高まることが効果としてあげられること
は多々ありますが、アスリートにとってとても重要な「疲労回復」
「リカバリー」「休養」についても非常に効果的です。
プロ選手では、トレーニングや試合そのものが生活のすべて、
人生のすべてとなりがちです。
プロ/アマ問わず大事な試合やレースの前は過剰なプレッシャーにより
身体生理学的にも脳科学的にも悪影響が出ることがあります。
熟睡できず試合当日の朝を迎えたのでは、ケガのリスクが高まり、
パフォーマンスも低下してしまいます。
リカバリーヨガをすることで、フィジカルの「疲労回復」のみならず、
脳に効果的に働きかけリラックスさせることができます。
リカバリーヨガの実践を継続することでメンタルの安定(スタビリティ)を獲得し、
どんなときにも落ち着いた状態で練習や試合に臨めるようになります。
ヨガは単にフィジカルなポーズ(アーサナ)だけでなく、
呼吸法、瞑想法を含めて包括的に心と体を整えます。
特にトップアスリートになるとフィジカルではほとんど差がなく、
メンタルの差が試合の結果に反映されます。
この部分に取り組んでいるかどうかが勝敗を分けるといっても過言ではないのです。
ヨガという言葉の語源は、yuj(サンスクリット語:ユジュ)。
「結ぶ」「繋ぐ」という意味があります。
ヨガにより暴走しがちなマインドをコントロールし、心と身体を「今」に留める。
この訓練に真摯に取り組めたアスリートは精神力や集中力を養い、
パフォーマンスを存分に発揮できると言えます。